カタラータ・カルパ物語 ~1年目11月~

「お~い、邪魔するぜ、HAHAHA!」
「邪魔をするなら帰ってくれないか?」
「あいよ~! ってお前も言うようになったじゃねえか!」

マスクの鼻を気にしながらHAHAHA!とカルパッチョ真岡は笑う。
そのまま近くの椅子を引くと社長のデスクの前にどかりと座る。

「なんだよ、ご機嫌斜めっぽいな? 何が気に入らねぇんだ?」
「僕は普段からこんな顔だよ」

書類に目をやったまま答える社長に、

「どうせ泉ちゃんが写真集の仕事に出てるのが気に入らねぇんだろ?」

その言葉に初めて若き社長はうさんくさいレフェリーに目を向けるが、無言。
真岡はくい、とマスクの鼻を引きながら、

「HAHAHA! そんな怖い顔をするなよ。泉ちゃん頑張ってるじゃねえか」
「先月も一日署長で時間を取られてる。遊んでる暇はないんだ」

その答えに真岡は普段以上に大声で笑う。
その声の大きさに腹を立てたように、

「僕が甘すぎたのかもしれない」

そう言い捨てる。

「ぶっHAHAHAHA!そいつはいい冗談だな!」

さらにマスクの男は大きな声で笑う。
社長は表情を変えず、男が笑い終えるのを待つ。

「っHAHAHA……。すまねぇな、ちと笑いすぎた。
 まあアレだ、俺に言わせれば」

笑いすぎたのか、目元を指で擦りながら、

「頑張ってねぇのはお前だよ」
「何だと?」
「お前が一番ダメだって言ってるんだよ。わかんだろそれくらい」
「わからないね」

その返答に溜息をつきながら、

「来月のEXリーグ。泉ちゃんとアッコちゃんで参加の申し込みをしておいた」
「はぁ!? なに勝手な事してんだよ!」
「そう言うと思ったぜ、HAHAHA!……なあ、社長」

初めて肩書きで呼ばれたことに気がついたか、それ以上の反論をせずマスクマンの
次の台詞を待つ。

「EXは確かに茶番かもしれねぇ。得をするのは新女だけかもしれん」

若き社長は無言のまま。真岡は暫く雇い主を眺めていたが、

「まあ勝てばいいんだよな! 勝つよなぁ、泉ちゃんも、アッコちゃんも、
 お前が見てるんだしな! すまんな、邪魔した。HAHAHAHA!」

そう言うと椅子を蹴って立ち去ろうとする。その背中に、

「僕は間違ってるのか?」

単刀直入に疑問をぶつける。うさんくさい男はドアノブに手を掛けたまま。
そのまましばらく時が過ぎる。やがてマスクの男は振り向くと、

「半年経ってもわかんねぇの?」

それだけ言って出ていく。
閉じられたドアを暫く立ったまま眺めていたが、大仰に音を立てて
安そうな椅子に腰を落とすと、

「クソッ! 僕の何が悪いんだよ。はっきり言えばいいじゃないか!」

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