折れない心

試合は真壁が秋山に丸め込まれて終わった。

秋山 「私たちの勝ちね!何か言いたい事はあるの?」
優香 「まさか自分は負けてないとか言い出さないよね!?」

勝利した秋山達がまくしたてる。
小早川は負けてコーナーにへたり込む真壁を気にしつつも
マイクを取って静かに、しかし嬉しそうに応える。

小早川「なんだ、あんた達もやればできんじゃん」

負け惜しみとも取れる台詞であるが、屈託のない言い様に
秋山達は言葉を失う。それに構わず小早川は続ける。

小早川「あんた達が牛飼いに落ちてなくて良かったよ。
     それがわかったから今日は満足だよ。ありがと」

マイクを投げ捨て、真壁に肩を貸しつつリングを下りる。
秋山達は拍子抜けしたような表情で二の句が継げないでいる。

花道を引き上げながら真壁がいう。

真壁 「……この試合だけは負けちゃいけなかったんじゃないの……?」
小早川……ん?そんな事ないよ?」
真壁 「でも……」

小早川はにっと笑うとばん!と真壁の胸板を叩いて、

小早川「なんだよ、らしくないじゃない那月ぃ!?」

真壁はごほごほと咳き込みながら、

真壁 「な、なによ!あんたがカウガールズから離脱したから気にして
    あげてるんじゃないのよ!」
小早川「へぇ、那月がそんなに優しいなんて初めて知ったよ!でもね……」
真壁 「な、何よ!」

思いがけず『優しい』と言われて真壁が狼狽する。

小早川「へへ、那月ならわかってくれると思うんだけどさ。
     折れたらいけないトコロってあると思うんだ、あたしはさ」
真壁 「……」
小早川「あたしは折れた剣になりたくないからさ、ゆがんだ鞘に収まりたくなかったの」
真壁 「面倒くさいのね、あんたって」
小早川「那月に言われたくないねー、あっははは!」

顔を赤くして抗議しようとする真壁の口に芝居がかったウィンクをしながら指を当て、

小早川「那月はいいパートナーだよ。今日は負けたけどさ、残りの一試合……」

えへへ、と再び屈託なく笑うと、

小早川「勝てばあたし達がチャンピオンだよ。勝とうね、那月!」

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