Kick Start "THE ELEGANT"(3)

バンデリージャ(フライングニールキック)で試合を決めた小早川は
いつものクセでダンスを踊った後、赤コーナーにもたれて未だ
倒れている真壁を眺める。

(結構やるじゃん……)

張られまくった頬を押さえながら思う。
真壁の掌打を始めとした打撃は確かに小早川の身体に刻み込まれた。

(勝っても負けても評価の変わらないチャラチャラしたヤツと思ってたけど)

真壁の所属するTornadoはミミ吉原・金森麗子と組まれたユニットである。
特に吉原は小早川がデビューする前から第一線で活躍しており、
金森もそのルックスや派手な試合運びで人気があった。
この二名は人気に恥じない実力があり、そこは小早川も認めるところである。

(でもコイツだけはやっぱり気に入らないんだよね!)

真壁と小早川は同期で、身体の大きさもほとんど同じ。
負けん気の強さも同程度であったが、ただ形に拘るかそうでないか。そこだけだった。

(最初っからカッコばっかりつけたがっててさ……)
自分以上に熱くなる性格のクセにクールだのエレガントだのと言ってたなあ。

そんな事を考えていると、件のミミ吉原と金森麗子がリングに駆け込んできた。

大きな歓声を背に、吉原がマイクを取る。金森は倒れている真壁を介抱しに向かう。

吉原 「見事な試合だったわよ、志保ちゃん。でもあなた、これからも一人でやっていくの?」

吉原はここで言葉を区切る。その裏にある真意を観客は察して大きな歓声を上げる。

(さすがに長いことやってないよね……)

小早川はたった一言で流れを持っていかれた事に腹の中で苦笑した。
吉原は歓声が落ち着くのを見計らい、

吉原 「今日、発表になったわよね。新しく作られたタッグのベルト。どうするのよ?」

次のシリーズは新設されたDWPのタッグベルトの初代チャンピオンを決めるリーグ戦が
行われると第一試合の開始前に発表されていた。
小早川は一人で戦っていることもあり、他人事のようにそれを聞いていた。

吉原 「あなたの覚悟、このベルトを狙うことで見せる事ができるんじゃないの?」

(覚悟?覚悟って何さ。あたしはただ……)

小早川はレフェリーのMr.DENSOUからマイクを受け取り、

小早川「知っての通りあたしは今一人なの。タッグは一人じゃ戦えないでしょ。
     だからあたしは出ないよ」
吉原 「じゃあ那月と組んで出ればいいじゃない。同期だしちょうどいいでしょ」

わっと再び客席が盛り上がる。

小早川「はぁ?なんであたしがコイツと組まなきゃなんないのさ!?」
吉原 「いいじゃない。若い者は若い者同士」
小早川「いやだね!コイツをタッグリーグに出したきゃミミさん、あんたか麗子さんで
     組んで出ればいいじゃない!あたしに押し付けないでよね!」

その言葉が終わるかどうかという時、突然金森が小早川の横っ面を張り飛ばす。

金森 「あたしがなっちゃんと組んだらミミさんがタッグリーグに出られないでしょー!」

なんとも理不尽な言い分だった。
理不尽極まりないが、小早川はなんとなくその迫力に押されてしまう。
ようやく起き上がってきた真壁と、吉原・金森を交互に眺め叩かれた頬を押さえながら、

小早川「殴ることないじゃない……。あーーーー!もうめんどくさいなあ!!
     わかったわよ、組んであげるよ!!」

小早川はきっと真壁を睨むと、

小早川「那月!あんたと組んで優勝できるんでしょうね!?」
真壁 「あ、当たり前じゃない!リーグ戦は盛り上がるわよ!あんた…貴方がわたしの
    引き立て役になって盛り上がるに決まってるわ!」
小早川「ハッ!笑わせないでよね!まあいいよ、出るからには勝つからね!
     あたしの足引っ張らないでよ!」
真壁 「あ、貴方こそもう少しエレガントに戦ってよね!」

小早川はふんと鼻を鳴らすと吉原に向き直り、

小早川「今はあなたに乗ってあげるよ、ミミさん。でもTornado入りとかそういうのは
     別だからね!そこは勘違いしないでよ!」


DWPタッグ初代王者決定リーグ戦、参加チームは次の通り。

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拍手レスです。ありがとうございます。

>まつりんさん
 今後の展開に期待してもらって結構です(本当か?

>鷹羽シンさん
 こう見えてもウチなっちゃん大好きなのよ?本当よ!?(本当か?

他にも拍手くださった方、ありがとうございます!

この記事へのコメント

ニワトリ
2008年08月08日 08:24
がんばれケック

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