コーチだよ

「うぅうううおおぉぉぉーーーっ!」

今日もDWPの道場に真田の叫び声が響く。

「HAHAHA!真田は相変わらず元気だねえ!」

秋山の打撃練習のため、ミット打ちのパートナーを務めているDENSOUが笑う。
秋山はミットを打つ手を止め、息を整える。

「ふぅ……。美幸ってばいつも『ブッ倒れるまで練習するッス!』なんて
 言ってて、本当に倒れちゃうんですよ。オーバーワークですよね」
「何を言ってるんスか!99%の根性と1%のひらめきッスよ!
 倒れるまで練習したら光が見えるんス。
 その光の先に何かがあるんス。自分はそれを探してるんスよ!」
「あの世への扉だよ、それ。いやだよ、化けて出ないでよ~!」

DENSOUが秋山の相手をしているため、基礎練習のメニューをこなしていた優香が
横から口を挟む。いつもは吉原が三人のうちの誰かの相手をするのだが、
今日は映画の撮影で不在だった。

「自分は根性出してあの世行きなら本望ッス!」
「いや、それ本末転倒だから……」

秋山は頭を抱えて、

「でも、美幸の極端なのはアレとしても、練習メニューに少し無理があるよね」
「そうだねえ。普段はミミさんとまあ…DENSOUさんも練習見てくれてるけど
 二人とも自分の仕事があるしねえ」
「なんだなんだなんだあ?俺のコーチングじゃ不満ってかぁ?」

優香は慌てて、

「いや、そうじゃなくて!!なんというのかな、こう科学的なトレーニングとか」
「優香の口から科学的なんて言葉が聞けるなんてね」
「むー、美姫だってそう言ってたじゃない!」

普段の優香は見えないものが見えたり見えなかったりといった物言いが多いので
秋山はそれを揶揄したのだった。

「HAHAHA!一応俺もトレーニング法については勉強してるんだがね」
「いや、DENSOUさんは十分やってくれてるッス!
 DENSOUさんのはそうッスねえ、非科学的ってより非常識って感じッスよ!」
「真田~、それ誉めてねぇしぶっちゃけ見た目だろ!HAHAHAHAHA!」

相変わらず妙なマスクを被っているDENSOUにつられて三人も笑う。

「ま、今のままじゃ確かに限界はあるわな。そこでGood News。
 実はコーチをお願いしている人がいるんだよ!」
「こんな事もあろうかと、ってヤツッスね!?くぅ~っ、変なのは見た目だけだったんスね!」
「むしろそれはお前の台詞だ真田。
 それとお前、思いついたことすぐ口にするのはやめろよ、俺だって傷つくぜHAHAHA!」
「全然そんな風に見えないねえ」

あはは、と笑いながら優香が言う。
反して秋山は軽い頭痛を覚えながら笑っているマスクマンに問い掛ける。

「それでDENSOUさん。そのコーチっていつから来られるんですか?」
「いい質問だねえ。実はもう呼んであるのです。Come here,Mr!」

うさんくさい発音でDENSOUは道場の扉に向かって叫ぶ。
道場の扉がグシャッと粉砕され、筋肉質の中年男性が入ってきた。

「気合だぁーっ!!」

DENSOUはあっけにとられる三人を満足そうに見渡すと、

「仙川浩二郎コーチだ。君たちの不得手な投げ・パワーの分野が得意だ。
 育てた選手は数知れず、理にかなったコーチングには定評があるぞ。
 仙川コーチ、彼女達をお願いしますよ」
「気合だぁーっ!!」

DENSOUは満足げに頷くと、

「コーチも鍛え甲斐がありそうだと言ってくれている。みな、ますます精進してくれ!」
「あ、あの、DENSOUさん?」

秋山がやっとという体で口を開く。

「なんだい」
「えーっと、その、『理にかなった』っていうのは……」
「なんだ自分達で言っててわかってないのかい、しょうがないなあHAHAHA!
 君たちの言い方で言えば『科学的』トレーニングの権威だよ、仙川コーチは」
「気合だぁーっ!!」

秋山はますます頭痛がひどくなってきた。
どう贔屓目に見たって根性第一主義の人にしか見えない。
第一、さっきから「気合だぁーっ!」しか言ってないし、言葉が通じるのかも疑問だった。

「お、おおお……」

秋山がこめかみを押さえていると、真田がふらふらと仙川に近づく。

「コーチ!自分は強くなれますか!?」
「気合だぁーっ!!」
「自分は、世界を獲れますか!?」
「気合だぁーっ!!」
「お、おおおぉ……自分感激ッス!コーチ、早速特訓をお願いします!!」
「気合だぁーっ!!」

呆気に取られる秋山。満足そうなDENSOU。あははと笑っている優香。
さて、三人が強くなるのが先か秋山の胃に穴が開くのが先か。この時点では誰もわからない。
試合のシーンがいつ出てくるのかも誰もわからない――。


ようやく四回目です。進みが遅くて自分でもイライラするぜ(笑)
それはさておき、愛の方で耳の日賞を獲得しましたよ。
50ポイントはでかいですね。久しぶりに軍団戦なんかぽちぽちとやっております。
ウチの軍団と対戦して下さった方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。

また、拍手を下さった方もありがとうございました。
更新は相変わらず遅いですが励みにしております。

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